「本当に重要なことを見分ける祈り」(2018年9月30日 週報巻頭言 牧師 藤井秀一)

「The top Five Regrets of the Dying」(2012 Bronnie Ware著)という本があります。日本語の翻訳では「死ぬ瞬間の5つの後悔」です。

終末期の緩和ケアの介護を長年つとめ、数多くの患者を看取った女性の看護人の方の本です。彼女はその経験から、人が死ぬ間際に後悔することを5つにまとめました。

 

1.自分に正直な人生を生きればよかった。

2.働き過ぎなければよかった。

3.思い切って自分の気持ちを伝えればよかった。

4.友人と連絡をとりつづければよかった。

5.もっと幸せを求めればよかった。

 

自分の思い、自分の考えで決断し、歩んできたはずのその道の終わりで、もっと「自分に正直な人生を生きればよかった」と気づく。それは、それまで自分の思い、考えであったと思い込んでいたことが、実は人の期待や時代の価値観に心縛られ、自分に正直に自分らしく生きてこなかったという、気づきなのかも知れません。

 

「自分らしく生きる」とは、言い替えれば、主が目的をもって自分を造られたように生きるということ。自分にいのちを与えた主と無関係なところに「自分らしさ」などないからです。さてパウロは、生まれてまもないフィリピの教会の一人一人を覚えて、こう祈りました。

「わたしは、こう祈ります。知る力と見抜く力とを身に着けて、あなたがたの愛がますます豊かになり、本当に重要なことを見分けられるように」(フィリピ1:9-10)と。

この世界には、これこそ価値があると、心を魅了する考え方、価値観、ものに溢れています。「お金」、「仕事」、「恋愛」、「人助け」、「人から褒められること」・・。

良く思える価値観、考え方があふれているからこそ、自分にとっての「本当に重要なことを見分けられるように」と主に祈ることの大切さを思わされるのです。

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